
防火対象物点検とは

平成13年9月の新宿区歌舞伎町のビル火災は、小規模な複合ビルで発生したにもかかわらず、44名の尊い命を奪いました。このような大惨事となった要因として、階段に避難障害となる物品が置かれていたこと、防火管理者が選任されておらず避難訓練も行われていなかったこと、消防用設備等の点検も行われていなかったことなどの消防法令違反が挙げられます。
この火災を教訓に平成15年10月1日に消防法が大幅に改正され、『防火対象物定期点検報告制度』が施行されました。 通常の消防設備点検とは別に、主に適切な避難ができるような環境にあるかを点検し消防機関へ報告する制度です。
防火対象物点検の点検項目
防火管理者を選任しているか
消火、通報、避難訓練を実施しているか
避難階段に避難の障害となる物が置かれていないか
防火戸の閉鎖障害となる物が置かれていないか
カーテン等の防炎対象物品に防炎性能を有する旨の表示が付されているか
消防法令の基準による消防用設備等が設置されているか
点検の対象となる建物
次の用途に使われている防火対象物では、下記の条件に応じて点検・報告が義務となります。
1 | イ | 劇場、映画館、演芸場、観覧場 |
ロ | 公開堂、集会場 | |
2 | イ | キャバレー、カフェ、ナイトクラブその他これらに類するもの |
ロ | 遊技場、ダンスホール | |
ハ | 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する性風俗関連特殊営業を営む店舗(ニ並びに(1)イ・(4)・(5)イ及び(9)イに掲げる防火対象物の用途に供されているものを除く。)その他これに類するものとして総務省令(規5-1)で定めるもの | |
ニ | カラオケボックスその他遊興のための設備又は物品を個室(これに類する施設を含む。)において客に利用させる役務を提供する業務を営む店舗で総務省令(規5-2)で定めるもの | |
3 | イ | 待合・料理店その他これらに類するもの |
ロ | 飲食店 | |
4 | 百貨店・マーケットその他の物品販売業を営む店舗・展示場 | |
5 | イ | 旅館・ホテル・宿泊所その他これらに類するもの |
ロ | 寄宿舎・下宿・共同住宅 | |
6 | イ | 病院・診療所・助産所 |
ロ | 老人短期入所施設・養護老人ホーム・特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・介護老人保健施設・乳児院・重症心身障害児施設など ※詳細は、建物の用途区分6項ロをご参照ください | |
ハ | 老人デイサービスセンター・軽費老人ホーム・老人福祉センター・助産施設・保育所・児童養護施設など ※詳細は、建物の用途区分6項ハをご参照ください | |
ニ | 幼稚園・特別支援学校 | |
9 | イ | 公衆浴場のうち、蒸気浴場・熱気浴場・その他これらに類するもの |
ロ | イに掲げる公衆浴場以外の公衆浴場 | |
16 | イ | 複合用途防火対象物のうち、その一部が、(1)~(4)・(5)イ・(6)又は(9)イに掲げる防火対象物の用途に供されているもの |
ロ | イに掲げる複合用途防火対象物以外の複合用途防火対象物 | |
16-2 | 地下鉄 |
対象となる条件
下記の建物は、1年に1回、防火対象物点検資格者による点検、報告が義務づけられています。
収容人員が30人以上300人未満の防火対象物
- 特定用途部分地階又は3階以上に存するもの
- 階段が1つのもの(屋外に設けられた階段等であれば免除)
例:小規模雑居ビル等
収容人員が300人以上の防火対象物
点検報告する義務があります。
例:百貨店、遊技場、映画館、病院、老人福祉施設等
防火管理者とは
その建物の管理権原者(所有者、会社社長など)により選任を受けた、その建物において管理的立場にあり、消防設備や火気設備等の防火管理等を行う者で、消防施行令で定める講習(防火管理者資格講習)の課程を修了した者及び一定の資格を有した者をいいます。
防火管理者が必要な建物
特定防火対象物において収容人員30人以上かつ延面積が300平方メートル以上
- 劇場、映画館、百貨店、スーパーマーケット、ホテルなど不特定多数の人を収容する建物
- 幼稚園等や病院、社会福祉施設など災害弱者を収容する建物
非特定防火対象物において収容人員50人以上かつ延面積が500平方メートル以上
- 事務所や共同住宅、工場など多数の人が勤務、居住する建物
防火管理者の役割

火災被害を最小限に留めるために、以下の業務を行います。
- 「消防計画」を作成し、それに基づいて「消火・通報・避難訓練」を行う
- 消防設備の維持、管理を行い、消防署への届け出等を行う
- 火気使用に関する監督
- 避難、防火上必要な構造及び設備の維持管理
- 収容人員の管理
- その他防火上必要な業務
防火管理者講習について

防火管理者講習は2種類あり、その建物により必要な資格があります。
- 甲種防火管理講習(2日間の講習)
- 乙種防火管理講習(1日の講習)
講習の詳細、日程等については、最寄りの消防署にお問い合わせください。